2010年12月31日金曜日

私的年間映画ベスト3

今年映画の鑑賞記録をつける事を再開したが、大晦日にカウントしたら丁度110本となった。最高点の五つ星をつけた映画は「ハートロッカー」「インセプション」「オーケストラ」「最後の忠臣蔵」の4本であった。あえて順位をつければ一位「インセプション」、二位「オーケストラ」三位「ハートロッカー」と「最後の忠臣蔵」となる。一位と二位については感想はブログに掲載したので詳細は省略するが、「インセプション」は「2001年宇宙の旅」「ブレードランナー」に匹敵するSF映画の傑作と思う。
「ハートロッカー」はアカデミー賞6部門受賞映画で、鑑賞直後もう戦争映画を見るのは止めようと思った位迫真の映画。因みに監督はアバターの監督J・キャメロンの元妻でアカデミー賞競争は元妻の勝ちとなった。
「最後の忠臣蔵」は結末に若干の違和感あるも、主演女優桜庭ななみの素朴な演技が初々しさを表現し泣けた。持論である「女優は出始めが一番」というジンクスどおりの映画、「武士の一分」の壇れいも、今は金麦のコマーシャルでよく見るがやはり着物と日本髪が美しい最初の映画が一番。 
その他私的特別賞に値するのは「アバター」と「ワイルド・レンジの主演女優アネット・ペニング」。「アバター」は3D版を映画館で鑑賞した、ストリーはエイリアンの逆バージョンでそれほどでもないが、3D用眼鏡をつけて2時間40分疲れずに見られた事で技術の進歩を実感した。尚、3D映画は吹き替え版で鑑賞したほうが良い、字幕版では字幕が一番前に浮き出てきて不自然だった。
「ワイルドレンジ」はケビンコスナー監督主演の西部劇、決闘場面がリアルで四つ星半をつけた映画。アネット・ペニングは、ベテラン女優で持論に反するが小皺すら好ましく感じられる気品溢れる凛とした美しさに感激したという事で選んだ。
追記、フラウという女性誌の2月号で18人の映画ライターとジャーナリストの投票による2010年公開映画シネマランキングでは「インセプション」が第一位、「ハートロッカー」が第八位にランクインしていた。

2010年12月23日木曜日

特別のオーラを感じる名画「エトワール」

横浜美術館のドガ展を鑑賞した。普段は多分美術館の倉庫入りしているだろう作品を描く前の習作等も展示されていて、作者の創作過程がある程度わかる親切な展示であった。競走馬の絵等興味深い絵もあったが、何と言っても特別なオーラを感じたのが「エトワール」(左の絵)。「舞台袖の顔の見えない黒服の男がパトロンで、舞台のバレリーナがその愛人だという結構どろどろした人間関係が絵に描かれている」という解説もある。 しかし、絵の前に立つとそんな解説も忘れて舞台に浮かび上がるように描かれたバレリーナの幽玄の美にしばし見とれるのみ。この一枚だけでもドガ展を観に来た甲斐があったと思った。
常設展で写真コーナーがあり、大学時代にカメラクラブ(写真部)だった私にはバイブル的存在であった「決定的瞬間」の写真家アンリ・カルティエ・ブレッソンの見覚えのある写真が8枚ほど展示されていたのは思いがけない余禄だった。

2010年12月14日火曜日

映画「オーケストラ」(☆五つ)

公開当時評判だったが見逃したフランス映画「オーケストラ(原題 le concert)」がDVD化されたのでレンタル試聴。ソ連のユダヤ人弾圧の余波で首になり、劇場の掃除人をしている天才指揮者が主役。偶然事務所に来たオーケストラ出演依頼のFAXを横取りして、同じく首になった団員を集めて、パリの劇場で公演し大成功するという一寸荒唐無稽の話だが、旧ソ連ならあり得るかと思わせる(にせ楽団の話は実話であったらしい)。前半から中盤までは渡航までのドタバタと、パリでリハーサルもさぼって遊びまわる団員を描き笑わせる。 しかし、後半のチャイコフスキーのバイオリン協奏曲をバックに天才バイオリニストの出生の秘密が明かされる展開では、名曲のメロディーと映像が巧みにシンクロされていて泣けた(年取って涙腺が緩んでいるせいもあるが)。因みにバイオリニストはタランティーノ監督の「イングローリアス・バスター」(これも面白い映画)でパルティザンを演じていたフランスのメラニー・ロラン、細身の知的な美人で日本のバイオリニスト諏訪内晶子を彷彿とさせてはまり役。 久しぶりに見終わって幸福な気分になれた映画で、最高点の五つ星を付けた。年末に今年見た100本以上の映画の私的ベスト3を決める予定だが、間違いなくベスト3には入る予定。