アカデミー作品賞を取った「それでも夜はあける」とサンダンス映画祭作品賞他多数受賞「フルートベール駅で」の二本の映画を続けて観た。テーマはいずれもアメリカの暗部とも言える人種差別。前者は南部に奴隷制が実際に存在した時代の東部に住む自由黒人が、だまされて南部に奴隷として売られて、12年後に生還する話で当時の奴隷の悲惨な状況が延々と描かれている。
後者は現代アメリカ西海岸で実際に起こった、丸腰の黒人が白人警官に理由も無く射殺される話。アメリカ人にとっての恥である奴隷制を告発した映画がアカデミー賞を取るのは理解は出来る。
しかし映画としては、むしろ射殺された黒人の最後の一日を淡々と描き、最後の誤認逮捕場面で射殺されるショッキングな場面に至り、いまだに差別が厳然として残っている不条理を告発している後者の映画のほうが深く心を打ち泣けた。結構若い人が観ていたが最後にすすり泣きが聞こえた。エンドロールにその後陪審員裁判で殺人罪で告発された白人警官が僅か11ヶ月で出獄と出ると、どうせ陪審員は全員白人だろうなと思った。